レベル:入門|記載の情報は2026年10月12日時点のものです。
暗号資産の申告分離課税は、法律は成立していますが、2026年10月12日時点ではまだ始まっていません。始まるのは、改正金融商品取引法が施行された年の翌年1月1日からです。施行が2027年になれば、2028年1月1日以後の取引から適用されます。2026年分の利益は、これまでどおり総合課税です。
いま決まっていること、決まっていないこと
| 項目 | 状況 |
|---|---|
| 税率 | 決定。20%(所得税15%、住民税5%)。復興特別所得税を含めると20.315% |
| 損失の繰越 | 決定。翌年以後3年間 |
| 対象 | 決定。国内の登録業者が扱う「特定暗号資産」の取引 |
| 開始の条件 | 決定。改正金融商品取引法の施行日の翌年1月1日以後の取引から |
| 改正金融商品取引法の施行日 | 未定。2027年7月23日までの、政令で定める日 |
| 実際の開始年 | 未定。施行が2027年なら2028年分から |
| 対象になる銘柄の具体的な範囲 | 未定。政令や内閣府令で定められる |
ここまでの経緯
| 日付 | できごと |
|---|---|
| 2025年12月26日 | 令和8年度税制改正の大綱が閣議決定。暗号資産の申告分離課税が盛り込まれる |
| 2026年4月10日 | 金融商品取引法などの改正案が国会に提出される |
| 2026年7月15日 | 改正法が成立 |
| 2026年7月23日 | 改正法が公布(令和8年法律第64号) |
| 2027年7月23日まで | 改正法のうち暗号資産に関する部分が施行される予定 |
| 施行の翌年1月1日 | 申告分離課税が始まる |
税金の開始時期が、金融商品取引法の施行日と結びつけられているのがポイントです。施行日を決める政令が出れば、開始の年が確定します。
総合課税と申告分離課税の違い
| 総合課税(現行) | 申告分離課税(これから) | |
|---|---|---|
| 税率 | 所得に応じて約15%から約55% | 一律20.315% |
| 計算のしかた | 給与などと合算する | ほかの所得と分けて計算する |
| 損失の繰越 | できない | 3年間できる |
| 対象 | すべての暗号資産の取引 | 国内の登録業者が扱う特定暗号資産の取引 |
同じ利益で、税金はどれだけ変わるか

暗号資産の利益にかかる税金を、2つの制度で概算しました。総合課税は、所得税、復興特別所得税、住民税10%の合計です。ほかの控除は考えていません。
| 給与などの課税所得 | 暗号資産の利益 | 総合課税 | 申告分離課税 | 差 |
|---|---|---|---|---|
| 150万円 | 100万円 | 約17.9万円 | 約20.3万円 | 約2.4万円増える |
| 400万円 | 100万円 | 約30.4万円 | 約20.3万円 | 約10.1万円減る |
| 1,200万円 | 500万円 | 約218.5万円 | 約101.6万円 | 約116.9万円減る |
所得が高い人ほど、税金は大きく減ります。一方で、課税所得が低い人は、一律約20%のほうが高くなる場合があります。「分離課税になればだれでも得をする」わけではありません。
3つの注意点
1. すべての取引が対象になるわけではない
対象は、国内の登録業者が扱う「特定暗号資産」の取引です。金融庁に登録のない海外の業者での取引や、業者を介さない取引は、総合課税のままになると解されています。細かい範囲は、今後の政令などで決まります。
2. 2026年分は総合課税のまま
2026年中に売って出た利益は、総合課税で計算します。「もう20%になった」という説明は誤りです。
3. 損失の繰越は、申告を続けることが前提
損失を翌年以後に繰り越すには、損失が出た年に確定申告をし、その後も続けて申告する必要があります。株式などの損失の繰越と同じ考え方です。
いま売るか、待つか
「税率が下がるまで売らずに待ったほうがよいか」という疑問を持つ人は多いでしょう。当サイトは、売買の時期についての助言はしません。判断の材料として、次の点を挙げておきます。
- 開始の年は、まだ確定していない
- 待っているあいだに、価格が大きく下がる可能性がある。税金が減っても、利益そのものが減れば手取りは減る
- 課税所得が低い人は、現行の総合課税のほうが税額が小さい場合がある
- 対象になる銘柄の範囲は、まだ確定していない
税金だけで決めず、自分の所得、保有している銘柄、資金が必要になる時期を合わせて考えてください。金額が大きい場合は、税理士に相談することをおすすめします。
よくある質問
2027年分はどちらの制度ですか
改正金融商品取引法の施行日によります。施行が2027年中であれば、2027年分は総合課税で、申告分離課税は2028年分からです。
株式の損失と相殺できるようになりますか
税制改正の大綱では、暗号資産の申告分離課税は、株式などとは別の区分として扱われています。暗号資産の損失を株式の利益から差し引くことは、想定されていません。
暗号資産のETFが買えるようになりますか
2026年10月時点で、国内では暗号資産のETFや投資信託は解禁されていません。解禁には政令の改正が必要で、時期は決まっていません。
この記事は、2026年10月12日時点で公表されている情報をもとにしています。施行日や対象の範囲が決まりしだい、内容を更新します。実際の申告については、税務署または税理士に確かめてください。
まとめ
- 申告分離課税は法律が成立済みだが、2026年10月時点では始まっていない
- 開始は、改正金融商品取引法の施行日の翌年1月1日から。施行が2027年なら2028年分から
- 税率は一律20.315%、損失は3年繰越。対象は国内の登録業者が扱う特定暗号資産
- 課税所得が低い人は、税額が増える場合もある
現行のルールは暗号資産の税金の基本(2026年分)で説明しています。
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出典
暗号資産は法定通貨ではなく、価格の変動により損失が生じることがあります。本記事は情報の提供を目的としており、特定の暗号資産の購入や取引の勧誘を目的とするものではありません。取引の判断は、ご自身の責任で行ってください。
