レベル:入門|記載の情報は2026年11月2日時点のものです(11月2日に追記)。状況は変わるため、続報が出たら追記します。
2026年10月30日(日本時間)、世界最大級の暗号資産取引所バイナンス(Binance)で、インターネットにつながった保管口座(ホットウォレット)から暗号資産が不正に流出しました。同社の推計では約63億ドル(約9,900億円)で、暗号資産の盗難として過去最大級とされています。
日本で金融庁の登録を受けて営業しているBinance Japanは、日本の利用者の資産に影響は確認されていないと発表しています。この記事では、公式発表と報道をもとに、何が起きたのか、日本の利用者は何をすればよいのか、国内の取引所ではお金や暗号資産がどう守られているのかを整理します。
大きな事件のあとは、取引所や警察、補償窓口をかたる偽のメール・SMSが増えます。「補償の手続き」「資産の移動が必要」などと書かれたリンクは開かず、取引所の公式アプリや、自分でブックマークした公式サイトから確認してください。
何が起きたのか
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発生 | 2026年10月30日(日本時間)早朝 |
| 被害 | バイナンス(グローバル)のホットウォレットから約63億ドル(同社推計、約9,900億円)が流出。調査会社TRM Labsによると、10のブロックチェーンにまたがり、大半が約20分で移された |
| 入口 | 同社は当初、開発・運用担当者のパソコンが侵害されたと説明。その後、別の侵入箇所も見つかったとしている。ウォレットの秘密鍵が漏れた証拠は見つかっていないという |
| 犯行グループ | 調査会社のTRM LabsとChainalysisは、北朝鮮系のハッカー集団の関与を指摘している(同社はまだ特定していないとしている) |
| 資金の凍結 | ステーブルコインの発行会社テザーとサークルが、流出した資金の一部(報道では合わせて20億ドル超)を凍結した |
| 同社の対応 | 損失は顧客保護基金(SAFU)と自社の資金で補うとし、出金を段階的に再開する方針。保有資産を示す「準備金証明」を11月2日までに公表する予定としている |
流出の規模や補填の状況は、報道機関や調査会社によって数字が異なります。最新の状況は、バイナンスの公式発表で確かめてください。
日本の利用者への影響
日本の居住者向けには、金融庁に登録された暗号資産交換業者のBinance Japan株式会社がサービスを提供しています。同社の10月30日の発表によると、次のとおりです。
- 日本の顧客の暗号資産は、国内の法令に従って同社のコールドウォレット(インターネットから切り離した保管)で管理しており、被害を受けたグローバルのホットウォレットとは別に管理している
- ウォレットと残高を点検した結果、顧客資産への影響は確認されていない
- 予防措置として暗号資産の出庫(外部への送付)を一時停止。入庫、販売所・取引所での売買、日本円の入出金は通常どおり
- 万一、顧客の被害が判明した場合は全額を補償する方針
出庫の再開については、10月30日時点で「48時間以内の再開を見込む」と案内されていました。再開の告知は、Binance Japanの公式サイトとアプリで確認してください。
11月2日追記:バイナンス(グローバル)は11月1日から、ビットコインやイーサリアムなど主要な銘柄から順に出金を段階的に再開しました(報道による)。一方、Binance Japanの公式のお知らせは、11月2日午前4時の時点で「出庫は一時停止中」のまま更新されていません。再開が告知されたら追記します。
日本の取引所では、資産はどう守られているか
日本の暗号資産交換業者には、法律で次のような義務があります。今回のような流出が起きても、利用者の資産をできるだけ守るためのしくみです。
| しくみ | 内容 |
|---|---|
| 分別管理 | 利用者の日本円や暗号資産を、会社の資産と分けて管理する(資金決済法)。日本円は信託銀行などに信託する |
| コールドウォレット | 利用者の暗号資産の95%以上を、インターネットから切り離した方法で管理する。ネットにつながった方法で管理できるのは5%以下(内閣府令) |
| 履行保証暗号資産 | ネットにつながった方法で管理している利用者の暗号資産と同じ種類・同じ量の暗号資産を、会社が別に持っておく |
| 優先弁済 | 取引所が破綻した場合、分別管理されている暗号資産は、ほかの債権者より先に返してもらえる |
日本でも、2018年のコインチェック(約580億円)や、2024年のDMM Bitcoin(約482億円)など、流出事件は起きています。これらの事件をきっかけに、上のようなルールが強化されてきました。くわしくは取引所が破綻・流出したら資産はどうなる?で説明しています。
ただし、これらのしくみは「業者の資産と混ざらないようにする」ためのもので、暗号資産の価値を保証するものではありません。預金のような公的な保険制度もありません。また、金融庁に登録していない海外の業者には、日本のこうしたルールは適用されません。
いま利用者がしておきたいこと
- あわてて売らない・動かさない:取引所の公式発表を確認し、SNSのうわさで判断しない
- 公式アプリ・公式サイトだけを見る:メールやSMSのリンクから手続きをしない。補償や資産移動をうたう連絡は詐欺を疑う
- ログインの守りを固める:パスワードの使い回しをやめ、2段階認証やパスキーを設定する(2段階認証の設定)
- 出金先アドレスの登録を見直す:見覚えのない出金先が登録されていないか確かめ、出金先を事前登録制にできる取引所では設定する
- 海外の無登録業者を使わない:日本の居住者に営業している業者が金融庁に登録されているか確かめる(金融庁の登録業者の確かめ方)
よくある質問
Binance Japanに預けている資産は大丈夫ですか
同社は10月30日、日本の顧客資産はグローバルとは別のコールドウォレットで管理しており、影響は確認されていないと発表しています。最新の状況は公式のお知らせで確認してください。
ほかの国内の取引所にも影響はありますか
2026年11月1日時点で、国内のほかの交換業者に、今回の事件による被害が出たという公表は確認できていません。ただし、事件に便乗した詐欺には注意が必要です。
取引所に預けず、自分のウォレットで持つべきですか
自分で管理するウォレットなら取引所の流出の影響は受けませんが、秘密鍵やパスワードをなくすと誰も取り戻せず、詐欺で盗まれても補償はありません。メリットとリスクは暗号資産のウォレットとはで比べています。
まとめ
- 2026年10月30日、バイナンス(グローバル)のホットウォレットから約63億ドルが流出した
- Binance Japanは、日本の顧客資産は別管理で影響は確認されていないと発表。予防措置で出庫を一時停止した
- 日本の取引所には分別管理やコールドウォレットの義務があるが、価値の保証はない。便乗した詐欺に注意する
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出典
- Binance Japan「Binanceグローバルでのセキュリティ事案を受けた、Binance Japanの対応に関するお知らせ」(公式サイト、2026年10月30日)
- CoinDesk「Binance begins phased withdrawals starting with bitcoin」(2026年11月1日)
- Binance Japan「Binanceグローバルでのセキュリティ事案を受けた、Binance Japanの対応に関するお知らせ」(2026年10月30日)
- Forbes「Binance’s $6.3 Billion Hack」(2026年10月30日)
- Forbes JAPAN「バイナンス、暗号資産1兆円が流出」
- NHK「“過去最大級被害”暗号資産大手バイナンス 複雑な攻撃あった」(2026年10月31日)
- IPA「自分の個人情報等が漏えいした際の『対処』と『日頃の対策』」(2026年10月26日)
- 金融庁「暗号資産交換業者登録一覧」
