レベル:中級|記載の情報は2026年10月22日時点のものです。
暗号資産の利益を確定申告するには、1年間の売買や交換から「いくら利益が出たか」を計算する必要があります。国内の取引所だけで売買している人なら国税庁の計算書で足りることが多い一方、取引所が複数ある、海外の取引所やDeFiを使った、という人は計算が一気に難しくなります。
この記事では、損益計算の3つのやり方(自分で計算する、計算ツールを使う、専門家に任せる)を、国税庁の資料と各サービスの公式情報をもとに比べます。どれが合うかは、取引の量と複雑さで変わります。
まず押さえておく計算のルール
- 暗号資産の利益は、原則として雑所得(ほかの所得と合わせて税率が決まる総合課税)になる
- その年の暗号資産取引の収入が300万円を超える場合、帳簿書類を保存していれば原則として事業所得、保存していなければ業務に係る雑所得になる(国税庁の情報、令和7年12月改訂)
- 取得価額の計算は「総平均法」と「移動平均法」から選ぶ。届出をしなければ総平均法
- 移動平均法を使うなら、初めて暗号資産を取得した年分の確定申告期限(翌年3月15日)までに「所得税の暗号資産の評価方法の届出書」を税務署に出す
- 暗号資産どうしの交換や、暗号資産での買い物も、その時点で利益(または損失)を計算する
所得の種類や税率の基本は暗号資産の税金の基本、申告の手順は暗号資産の確定申告のやり方で説明しています。
損益計算の3つのやり方
| やり方 | 費用の目安 | 向いている人 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 国税庁の計算書(Excel)で自分で計算 | 無料 | 国内の取引所1〜2社で、売買だけをしている人 | 海外取引所・DeFi・NFT・送金が多いと手作業が増える |
| 損益計算ツールを使う | 無料〜年数万円(取引件数で変わる) | 取引所が複数ある人、取引件数が多い人 | 取引履歴の取り込み漏れや、分類の誤りは自分で確かめる |
| 申告代行サービスに任せる | 数十万円 | DeFiや閉鎖した取引所などで計算が複雑な人、時間をかけられない人 | 費用が大きい。依頼する範囲と追加料金を事前に確かめる |
やり方1:国税庁の計算書で自分で計算する

国税庁は、暗号資産の所得を計算するためのExcelファイル「暗号資産の計算書」を、総平均法用と移動平均法用の2種類公開しています。国内の暗号資産交換業者は、1年間の取引をまとめた「年間取引報告書」を交付しています。国内の業者だけで売買している場合は、年間取引報告書の数字を総平均法用の計算書に入力すれば、利益を計算できます。
- 費用がかからない
- 年間取引報告書があれば、入力する数字は少ない
- 暗号資産どうしの交換、海外取引所、ウォレット間の送金などがあると、自分で記録を整える必要がある
やり方2:損益計算ツールを使う

損益計算ツールは、取引所の取引履歴を取り込み、自動で利益を計算するWebサービスです。取引所とAPIでつなぐ方法や、取引履歴のファイルをアップロードする方法があります。
例として、国内で広く使われているクリプタクト(運営:株式会社pafin)の公式情報を整理します(2026年10月22日時点)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 無料プラン | 年間10万件まで取り込めるが、取引が50件を超えると損益の計算結果が表示されない |
| 有料プラン(税込・年額) | Basic 6,600円(300件まで)、Prime 22,000円(2,000件)、Pro 38,500円(1万件)、Pro+ 55,000円(5万件)、Pro Unlimited 77,000円 |
| 計算方法 | 総平均法と移動平均法を選べる |
| 取り込み | 取引所とのAPI連携、取引履歴ファイルのアップロード、ウォレットの接続など。DeFiやNFTの取引も扱う |
| サポート | 暗号資産にくわしい税理士を紹介するプログラムがある |
有料プランは1年ごとの自動更新で、公式サイトでは返金できないと案内されています。まず無料プランで取引履歴を取り込み、自分の取引件数を確かめてから、必要なプランを選ぶと無駄がありません。
PR損益計算ツール クリプタクト(運営:株式会社pafin)
公式サイト:Cryptact
無料プランでも取引履歴を取り込めますが、取引が50件を超えると損益の計算結果は表示されません。有料プランは1年ごとの自動更新です。料金や機能は変わることがあるため、公式サイトで最新の情報を確かめてください。
ツールが自動で分類できない取引(ウォレット間の送金、エアドロップ、DeFiの複雑な取引など)は、「未分類」として残ることがあります。計算結果をそのまま申告する前に、取り込み漏れや分類の誤りがないか確かめましょう。
やり方3:申告代行サービスに任せる
取引が非常に多い人や、DeFi・NFT・閉鎖した取引所などで自分では計算しきれない人向けに、損益計算から確定申告までを代わりに行うサービスもあります。
例として、コインタックス(運営:株式会社COIN)の公式サイトに載っている料金を整理します(2026年10月22日時点。税込か税抜かの記載なし)。
| プラン | 条件 | 料金 |
|---|---|---|
| ライト | 取引所5社以内 | 20万円 |
| ベーシック | 取引所10社以内 | 30万円 |
| アドバンス | 取引所数の制限なし | 40万円 |
利益の額に応じた加算や、DeFi(7万円)、NFT・ブロックチェーンゲーム(5万円)、閉鎖した取引所(5万円)などのオプション料金があります。プランには、提携する税理士による確定申告書の作成と、税務署への提出の代行が含まれると案内されています。
どれを選ぶかの目安
- 国内の取引所1〜2社で、年に数十回の売買:国税庁の計算書
- 取引所が複数ある、売買が年に数百回以上ある、暗号資産どうしの交換がある:損益計算ツール
- DeFi・NFT・海外取引所の取引が多い、過去の年分もまとめて整理したい:申告代行や、暗号資産にくわしい税理士への相談
どの方法でも、もとになるのは取引の記録です。取引所の取引履歴は、口座を閉じると取り出せなくなることがあります。毎年1回、取引履歴と年間取引報告書をダウンロードして保存しておきましょう。
今後の制度の変更
令和8年度税制改正大綱(2025年12月26日閣議決定)では、一定の暗号資産を交換業者を通じて売った利益を、税率20%(所得税15%、住民税5%)の申告分離課税にし、損失を3年間繰り越せるようにする方針が示されました。前提となる改正金融商品取引法は2026年7月15日に成立していますが、分離課税が実際にいつの取引から適用されるかは、2026年10月22日時点で正式には決まっていません(改正法が施行された年の翌年1月1日以後とされています)。くわしくは暗号資産の申告分離課税はいつからを参照してください。
よくある質問
利益が少なくても計算は必要ですか
給与を1か所から受けている会社員で、給与以外の所得の合計が20万円以下なら、所得税の確定申告は原則として不要です。ただし、利益が20万円以下かどうかを判断するためにも、計算は必要です。住民税の申告の扱いは、お住まいの市区町村で確かめてください。
損失が出た年も計算したほうがよいですか
雑所得の損失は、給与所得などほかの所得と差し引きできず、翌年に繰り越すこともできません(2026年10月22日時点)。それでも、移動平均法を使う場合などは、翌年以降の取得価額の計算に前年までの記録が必要です。損失の年も取引の記録は残しておきましょう。
ツールの計算結果だけで申告して大丈夫ですか
ツールは計算を助けるもので、申告の責任は自分にあります。取り込み漏れや未分類の取引がないか確かめ、判断に迷う取引は税務署や税理士に相談してください。
まとめ
- 国内の取引所だけなら、年間取引報告書と国税庁の計算書で計算できることが多い
- 取引所が複数・取引が多い場合は損益計算ツール、DeFiやNFTが多く複雑なら申告代行や税理士を検討する
- どの方法でも、毎年の取引履歴の保存が前提になる
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