レベル:中級|記載の情報は2026年10月17日時点のものです。
2026年は、日本の暗号資産のルールが大きく変わる年になりました。暗号資産の規制を資金決済法から金融商品取引法(金商法)へ移す法律が成立し、税金では申告分離課税の導入が決まっています。
この記事では、利用者に関係する変更を、次の4つに分けて整理します。
- 金融商品取引法への移行(いつ、何が変わるか)
- 利用者を守るための新しいルール
- 税金の変更
- 本人確認のルールの変更
これまでの経緯
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2025年12月10日 | 金融審議会のワーキング・グループが、暗号資産の制度見直しの報告を公表 |
| 2025年12月26日 | 令和8年度税制改正の大綱を閣議決定(申告分離課税の導入) |
| 2026年3月31日 | 税制改正法が成立・公布 |
| 2026年4月10日 | 金商法・資金決済法の改正案を国会に提出 |
| 2026年7月15日 | 改正法が成立(令和8年法律第64号) |
| 2026年7月23日 | 改正法が公布 |
| 2026年8月12日 | 無登録業者への罰則の引き上げなど、一部を先に施行 |
| 2027年7月22日まで | 暗号資産の規制の本体を施行(具体的な日は政令で決まる) |
金融商品取引法への移行
改正法では、暗号資産を「有価証券とは別の金融商品」として、金融商品取引法の対象にします。業者の呼び名も「暗号資産交換業者」から「暗号資産取引業者」に変わります。
施行は、公布から1年を超えない範囲で政令で定める日とされ、遅くとも2027年7月22日までです。2026年10月時点で、具体的な施行日は決まっていません。
ステーブルコイン(電子決済手段)は、引き続き資金決済法のルールで扱われます。くわしくはステーブルコインとはで説明しています。
利用者を守るための新しいルール

インサイダー取引の禁止
株式と同じように、暗号資産にもインサイダー取引規制ができます。発行者や取引業者の内部の情報、大口の売買の情報などを知った人が、公表前に売買することが禁止されます。
情報の開示
発行者がいる暗号資産について、発行者や取引業者に、銘柄の情報を公表する義務ができます。取引業者は、取り扱う銘柄の情報や、日々の売買の状況を公表することになります。
無登録業者への罰則の強化
登録を受けずに暗号資産の取引業を行った場合の罰則が、10年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金(またはその両方)に引き上げられました。この部分は2026年8月12日から施行されています。無登録業者の見分け方は金融庁の登録業者とはで説明しています。
投資助言・運用やレンディングも対象に
暗号資産について投資の助言をしたり、利用者の資産を運用したりする業務には、登録が必要になります。利用者から暗号資産を借りる業務(貸暗号資産)も、暗号資産取引業の対象になります。くわしくは貸暗号資産とはで説明しています。
新しいルールが施行されても、暗号資産の価格が下がったときの損失が補償されるわけではありません。制度が守るのは、不公正な取引や業者の不正からであり、値下がりからではありません。
税金の変更:申告分離課税の導入
令和8年度の税制改正で、暗号資産の利益に、税率20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税)の申告分離課税を導入することが決まりました。
- 適用の開始:金商法の改正が施行された年の翌年1月1日から。施行が2027年中であれば、2028年1月1日からとなる見込み
- 対象:暗号資産取引業者を通じて売却などをした「特定暗号資産」
- 損失の繰り越し:要件を満たせば、損失を翌年以後3年間繰り越せる
それまでの2026年分・2027年分は、これまでどおり雑所得として総合課税(最大55.945%)です。くわしくは申告分離課税はいつから?、申告の手順は暗号資産の確定申告のやり方をご覧ください。
本人確認のルールの変更

犯罪収益移転防止法の施行規則の改正により、2027年4月1日から、ネットでの本人確認で「本人確認書類の画像と顔写真を送る方式」などが廃止されます。ICチップの情報を読み取る方式や、マイナンバーカードの公的個人認証が中心になります。
これから口座を開く方は、マイナンバーカードと、カードのパスワードを確かめておくと手続きがスムーズです。口座開設の流れはコインチェックの口座開設のやり方でも説明しています。
暗号資産ETFは
2026年10月時点で、日本で上場している暗号資産ETFはありません。解禁には投資信託に関する法令の見直しが必要とされ、議論が続いています。くわしくは暗号資産ETFとはで説明しています。
よくある質問
すでに持っている暗号資産について、何か手続きは必要ですか
現時点で、利用者が手続きをする必要はありません。業者の名前や書類の表記が変わることはありますが、預けている暗号資産がそのまま扱われます。業者からのお知らせを確認してください。
申告分離課税になるまで売らずに待ったほうがいいですか
税率だけでなく、価格の変動も考える必要があります。待っている間に値下がりする可能性もあります。考え方は申告分離課税はいつから?で整理しています。
今使っている取引所は、新しい制度でも使えますか
改正法には、既存の業者が一定期間、登録を受けずに業務を続けられる経過措置があります。各社が新しい制度に合わせて登録の手続きを進めることになります。
まとめ
- 暗号資産の規制は、2027年7月22日までに資金決済法から金融商品取引法へ移る
- インサイダー取引規制、情報開示、無登録業者への罰則強化など、利用者保護のルールが加わる
- 申告分離課税(20.315%)は2028年1月1日からの見込み。2027年4月からは本人確認のルールも変わる
あわせて読みたい
出典
- 金融庁「国会提出法案(第221回国会)」
- 金融庁「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案 概要」
- 参議院「議案情報(第221回国会)」
- 金融庁「改正法の一部施行について」(2026年7月29日)
- 金融庁 金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」報告(2025年12月10日)
- 財務省「令和8年度 税制改正の解説」
- 警察庁「犯罪収益移転防止法施行規則の改正に関するQ&A」
暗号資産は法定通貨ではなく、価格の変動により損失が生じることがあります。本記事は情報の提供を目的としており、特定の暗号資産の購入や取引の勧誘を目的とするものではありません。取引の判断は、ご自身の責任で行ってください。
