レベル:中級|記載の情報は2026年10月17日時点のものです。
暗号資産で利益が出た場合、確定申告が必要になることがあります。2026年分(2026年1月〜12月の取引)は、これまでどおり原則として「雑所得」として、給与などと合算して税金を計算します。申告は、2027年2月16日から3月15日までが原則です。
この記事では、次の順番で説明します。
- 確定申告が必要な人
- 準備するもの
- 利益の計算(総平均法と移動平均法)
- e-Taxで申告する流れ
- 注意点
税率や課税されるタイミングなど、税金のしくみの全体像は暗号資産の税金の基本で説明しています。
手順1:確定申告が必要か確かめる
会社員など、給与を1か所から受け取り、年末調整を受けている人は、給与以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要です。ここでいう所得は、売却額などの収入から、取得にかかった費用や手数料を差し引いた金額です。
- 暗号資産の利益が20万円以下でも、住民税の申告は必要になる場合があります。お住まいの市区町村で確かめてください
- 医療費控除などで確定申告をする人は、20万円以下の暗号資産の利益も合わせて申告します
- 家族の扶養に入っている人は、2026年分から、合計所得金額が62万円を超えると扶養から外れる点に注意してください
暗号資産で損失が出ても、給与所得など他の所得と相殺することはできません。2026年分は、損失を翌年に繰り越すこともできません。
手順2:準備する書類(必要書類チェックリスト)
- 各取引業者の年間取引報告書:国内の取引業者が発行する、1年間の取引をまとめた書類。年始と年末の数量、購入・売却の数量と金額、手数料などが記載されている
- 国税庁の「暗号資産の計算書」:総平均法用と移動平均法用のExcelファイルがある
- 外部のウォレットや海外の取引所の取引履歴:年間取引報告書が出ない取引は、自分で記録を集める
- 源泉徴収票:給与所得者の場合
- マイナンバーカード:e-Taxで申告する場合
年間取引報告書は、多くの業者で翌年1月以降に、会員ページからダウンロードできます。複数の業者を使っている場合は、すべての業者の報告書が必要です。
書類ごとの入手先と、手元にないときの対処
| 書類 | どこで手に入るか | いつ手に入るか | 手元にないとき |
|---|---|---|---|
| 年間取引報告書 | 各取引業者の会員ページ | 多くは翌年1月以降 | 取引業者に再交付を依頼する(国税庁の資料でも案内されている) |
| 取引履歴(CSVなど) | 各取引業者・ウォレットの画面 | いつでも | 口座を閉じると取り出せないことがあるので、毎年保存しておく |
| 暗号資産の計算書 | 国税庁のウェブサイト(Excel) | いつでも | 総平均法用と移動平均法用がある |
| 給与の源泉徴収票 | 勤務先 | 年末調整のあと(通常は1月まで) | 勤務先に再発行を依頼する |
| 公的年金等の源泉徴収票 | 年金の支払元(日本年金機構など) | 通常は1月 | 支払元に再交付を申請する |
| 控除の証明書 | 医療機関、生命保険会社、寄付先の自治体など | 主に年末から翌年初め | 該当する控除がある人だけ必要 |
| マイナンバーカード | 市区町村 | (申請から交付まで時間がかかる) | e-Taxは「ID・パスワード方式」でも申告できる |
使っている取引業者が複数ある場合は、業者ごとに年間取引報告書をそろえます。海外の取引所やウォレット、DeFiを使った場合は年間取引報告書が出ないため、取引履歴から自分で計算するか、損益計算ツールを使います。
立場ごとに必要なもの
| 立場 | 暗号資産の書類 | そのほかに必要なもの |
|---|---|---|
| 会社員(給与が1か所) | 年間取引報告書、計算書 | 給与の源泉徴収票、控除の証明書 |
| 副業や個人事業がある人 | 年間取引報告書、計算書、取引履歴 | 事業や副業の収入・経費の記録、給与があれば源泉徴収票 |
| 年金を受け取っている人 | 年間取引報告書、計算書 | 公的年金等の源泉徴収票、控除の証明書 |
計算のやり方の違い(国税庁の計算書・損益計算ツール・申告代行)は暗号資産の損益計算のやり方で比べています。
手順3:利益を計算する
暗号資産の利益は、銘柄ごとに次のように計算します。
利益 = 売却した金額 −(1単位あたりの取得価額 × 売却した数量)− 手数料など
「1単位あたりの取得価額」の求め方は2つあります。
| 総平均法 | 移動平均法 | |
|---|---|---|
| 考え方 | 1年間に買った総額を、総数量で割って平均を出す | 買うたびに、それまでの平均を計算し直す |
| 計算の手間 | 少ない | 多い |
| 届出 | 不要(届け出がなければこの方法) | 必要 |
移動平均法を使う場合は、初めて暗号資産を取得した年分の確定申告期限までに、「所得税の暗号資産の評価方法の届出書」を税務署に出します。届け出がなければ、総平均法で計算します。方法を変える場合は、その年の3月15日までに承認申請が必要です。
国内の取引業者だけで売買している場合は、年間取引報告書の数字を国税庁の計算書に入力すると、利益を計算できます。
課税の対象になる取引に注意
売却して日本円にしたときだけでなく、次の場合も利益が計算されます。
- 暗号資産で商品やサービスの代金を支払った
- 暗号資産を別の暗号資産と交換した
- ステーキングや貸暗号資産で報酬を受け取った(受け取った時点の時価で所得になる)
ステーキングや貸暗号資産のしくみは、ステーキングとはと貸暗号資産とはで説明しています。
手順4:e-Taxで申告する

国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使うと、画面の案内にしたがって申告書を作成し、e-Taxで送信できます。おおまかな流れは次のとおりです。
- 計算書で、暗号資産の所得を計算しておく
- 作成コーナーで、源泉徴収票の内容を入力する
- 「雑所得(その他)」を選び、種目に「暗号資産」と入力し、収入金額と必要経費を入力する
- 医療費控除や寄附金控除などがあれば入力する
- 住民税の納め方(給与から差し引くか、自分で納めるか)を選ぶ
- マイナンバーカードで送信し、税金を納める
作成コーナーの画面は毎年少しずつ変わります。最新の手引きは国税庁のサイトで確認してください。
手順5:期限と注意点

- 申告と納税の期限:2026年分は、2027年2月16日から3月15日まで(原則)。納税の期限も3月15日です
- 書類は保存する:年間取引報告書や計算の記録は、税務署から問い合わせがあったときに備えて保存しておく
- 年300万円を超える収入がある場合:帳簿を保存しているなど一定の条件で、事業所得になる場合がある
- わからないときは相談する:税務署の電話相談や、税理士に相談する
これからの変化
税制改正により、暗号資産の利益に、税率20.315%の申告分離課税を導入することが決まりました。適用は、金融商品取引法の改正が施行された年の翌年1月1日からで、2028年1月1日からとなる見込みです。2026年分と2027年分は、これまでどおり総合課税です。くわしくは申告分離課税はいつから?をご覧ください。
よくある質問
利益が少なければ申告しなくてもいいですか
給与所得者で、給与以外の所得の合計が20万円以下なら、所得税の確定申告は原則として不要です。ただし、住民税の申告が必要になる場合があります。
買っただけで売っていない場合も申告が必要ですか
買って保有しているだけなら、利益は確定していないため、申告の対象になりません。ただし、ほかの暗号資産と交換した場合や、暗号資産で支払った場合は、利益が計算されます。
損失が出た場合、申告する意味はありますか
2026年分は、暗号資産の損失を給与所得と相殺したり、翌年に繰り越したりすることはできません。ただし、同じ年の他の雑所得との間では相殺できる場合があります。
まとめ
- 給与所得者は、給与以外の所得が20万円を超えると確定申告が必要(住民税の申告は別に確認)
- 年間取引報告書と国税庁の計算書で、総平均法か移動平均法で利益を計算する
- 2026年分の申告は、2027年2月16日から3月15日まで(原則)
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出典
- 国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」
- 国税庁 タックスアンサー「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」
- 国税庁 タックスアンサー「No.2020 確定申告」
- 国税庁「暗号資産の計算書(移動平均法用)」
- 国税庁「暗号資産の計算書(総平均法用)」
- 国税庁「令和8年分以後の源泉所得税の改正のあらまし」
暗号資産は法定通貨ではなく、価格の変動により損失が生じることがあります。本記事は情報の提供を目的としており、特定の暗号資産の購入や取引の勧誘を目的とするものではありません。取引の判断は、ご自身の責任で行ってください。
