レベル:中級|記載の情報は2026年10月18日時点のものです。
暗号資産を複数持つようになると、「どれをどれだけ持つか」を決める必要が出てきます。思いついた順に買い足していくと、気づけば値動きの大きい銘柄ばかりになっていた、ということも起こりがちです。
この記事では、配分を整理するための「コア・サテライト」という考え方と、配分を整える「リバランス」を、日本の税金のルールも踏まえて説明します。特定の銘柄や割合をすすめるものではありません。
まず資産全体の中で考える

暗号資産の配分を考える前に、資産全体の中で暗号資産にいくら入れるかを決めます。金融庁は、資産形成の基本として「長期・積立・分散」を挙げています。分散とは、値動きの異なる資産を組み合わせることです。
暗号資産は、預金、株式、債券などと並ぶ資産の一つとして、全体の一部に位置づけるのが基本です。上限の決め方は暗号資産は資産の何%まで?で説明しています。
コア・サテライトとは
コア・サテライトは、資産を2つの役割に分けて持つ考え方です。投資信託などの運用で広く使われています。
| コア(中心) | サテライト(周辺) | |
|---|---|---|
| 役割 | 長く持ち続ける土台 | 期待や関心を込めて少しだけ持つ |
| 選ぶ基準の例 | 時価総額が大きい、流動性が高い、多くの業者が扱う | 特定のテーマや新しい分野 |
| 配分の考え方 | 暗号資産の中で大きな割合 | 小さな割合にとどめる |
| 売買の頻度 | 少ない | 見直しが多くなりがち |
コアとサテライトを分けておくと、サテライトの銘柄が大きく値下がりしても、全体への影響を限られた範囲に抑えられます。サテライトの銘柄を選ぶときの確かめ方は、銘柄の中身を調べる5つの視点にまとめています。
暗号資産どうしの分散は効きにくい
注意したいのは、暗号資産の中で銘柄を分けても、値下がりのリスクはあまり減らないことです。大きな下落局面では、多くの暗号資産が同じ方向に動きます。
さらに、暗号資産と株式の値動きの関係も変わってきています。国際通貨基金(IMF)の分析では、ビットコインと米国株(S&P500)の値動きの関係を示す相関係数は、2017〜2019年は0.01でしたが、2020〜2021年には0.36に高まりました。株が下がる局面で、暗号資産も一緒に下がりやすくなったということです。
暗号資産の中で銘柄を増やすことは、「分散」というより「中身の違うものを少しずつ持つ」程度に考えておくのが現実的です。
リバランス:配分を元に戻す

値動きによって、最初に決めた配分は少しずつ崩れていきます。崩れた配分を元に戻すことを、リバランスといいます。
タイミングの決め方
- 時期で決める:半年に1回、1年に1回など、決まった時期に見直す
- ずれの大きさで決める:決めた割合から一定以上ずれたら見直す
どちらの方法でも、事前に決めておくことで、その場の感情に左右されにくくなります。
日本の税金を踏まえた注意点
日本では、暗号資産を売って利益が出ると、その利益に税金がかかります。2026年10月時点では、利益は原則として雑所得になり、給与などと合わせて税率が決まる総合課税です。
注意したいのは、暗号資産どうしの交換も、利益が出れば課税の対象になることです。たとえば、値上がりした銘柄Aの一部を銘柄Bに交換すると、その時点で銘柄Aの利益が確定したものとして扱われます。
売らずに整える方法
税金の負担を考えると、売ってリバランスする前に、次の方法を検討する価値があります。
- 新しく買う分で調整する:割合が減った銘柄を中心に買い足す
- つみたての配分を変える:毎月の積立額の振り分けを、割合が減った銘柄に寄せる
- 売るのは上限を大きく超えたときに限る:資産全体での上限を超えた場合など
売って整える場合は、確定申告が必要になる場合があります。くわしくは暗号資産の確定申告のやり方をご覧ください。
リバランスは、損失を防ぐ方法ではありません。配分を決めたときのリスクの大きさを保つための方法です。また、売却で生じた雑所得の損失は、給与所得などほかの所得と相殺できません。
配分を記録しておく
配分を管理するには、定期的に次の項目を一覧にしておくと便利です。
- 銘柄ごとの数量と、その時点の評価額
- 暗号資産全体の評価額と、資産全体に占める割合
- コアとサテライトの割合
- 複数の業者に分けている場合は、業者ごとの内訳
よくある質問
コアには何を選べばいいですか
当サイトは特定の銘柄をすすめていません。時価総額、流動性、扱う業者の数、仕組みの分かりやすさなど、自分で確かめられる基準で選んでください。
リバランスはどのくらいの頻度でするべきですか
正解はありません。頻度が高いほど売買の手数料や税金の負担が増え、低すぎると配分が大きく崩れます。年に1〜2回など、続けられる頻度を決めることが大切です。
2028年から税金が変わると聞きました
2026年の税制改正で、暗号資産の利益に20.315%の申告分離課税を導入することが決まり、2028年1月1日からの見込みです。くわしくは申告分離課税はいつから?で説明しています。
まとめ
- 暗号資産は資産全体の一部に位置づけ、その中をコア(土台)とサテライト(少しだけ持つ部分)に分ける
- 暗号資産どうし、さらに株式とも、値下がりの局面では一緒に動きやすい。銘柄を増やしても分散の効果は限られる
- 日本では暗号資産どうしの交換も課税対象。リバランスは、買い足しや積立の配分変更で整えることも検討する
出典
- 金融庁「NISA特設ウェブサイト:資産形成の基本」
- 国際通貨基金(IMF)ブログ「Crypto Prices Move More in Sync With Stocks, Posing New Risks」(2022年1月11日)
- 国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」
- 財務省「令和8年度税制改正の大綱」
暗号資産は法定通貨ではなく、価格の変動により損失が生じることがあります。本記事は情報の提供を目的としており、特定の暗号資産の購入や取引の勧誘を目的とするものではありません。取引の判断は、ご自身の責任で行ってください。
