レベル:中級|記載の情報は2026年10月18日時点のものです。
生成AIの広がりとともに、「AI関連の暗号資産」という言葉をよく見かけるようになりました。ただ、その中身はさまざまで、AIとほとんど関係のないものに名前だけ付けている例もあります。
この記事では、AIとブロックチェーンが組み合わさる代表的な4つの型を整理し、テーマで暗号資産を選ぶときの注意点をまとめます。特定の銘柄をすすめるものではありません。
- 型1:計算資源を共有する
- 型2:DePIN(分散型物理インフラ)
- 型3:AIエージェントの支払い
- 型4:人間であること・データの出どころの証明
型1:計算資源を共有する

AIの開発や利用には、GPUなどの大量の計算資源が必要です。そこで、世界中の個人や事業者が持つ使われていない計算資源を貸し出し、使いたい人と結びつける仕組みが作られています。貸し手への報酬や利用料の支払いに、暗号資産が使われます。
大手のクラウド事業者に集中している計算資源を、分散して調達できるようにするという考え方です。一方で、性能や信頼性、継続性の面では、大手のクラウドと比べてまだ課題があります。
型2:DePIN(分散型物理インフラ)
DePIN(Decentralized Physical Infrastructure Networks)は、通信機器、センサー、ストレージなど、現実世界の設備を個人が提供し、その対価を暗号資産で受け取る仕組みの総称です。型1の計算資源もDePINに含めて説明されることがあります。
「みんなで設備を持ち寄り、使われた分だけ報酬を受け取る」という発想で、AIに必要なデータの収集や計算にも使われ始めています。
ただし、市場の将来の大きさとしてよく引用される「2028年に3.5兆ドル」といった数字は、2023年に示された予測です。世界経済フォーラムは、現在の規模を300億〜500億ドル程度としています。予測と現状は分けて読む必要があります。
型3:AIエージェントの支払い
AIエージェントとは、人の指示を受けて、調べものや予約、購入などを自律的に進めるAIのことです。AIエージェントが有料のデータやサービスを使うとき、少額の支払いを自動で行う手段として、ステーブルコインが注目されています。
たとえば米Coinbaseは2025年5月、ウェブの通信の仕組みに、ステーブルコインでの支払いを組み込む「x402」という規格を公開しました。2026年4月には、この規格がGoogle、Stripe、Visaなどの支援を受けて、Linux Foundationに移管されたと報じられています。
一方で、AIエージェントの支払いは暗号資産だけのものではありません。Visaは2025年4月、カード決済の仕組みでAIエージェントに買い物を任せるサービスを発表しています。「AIエージェントが広がれば、暗号資産が必ず使われる」とは言えません。ステーブルコインの基本はステーブルコインとはで説明しています。
型4:人間であること・データの出どころの証明
AIが文章や画像を大量に作れるようになると、「相手が人間か」「このデータはだれが作ったか」を確かめる手段が必要になります。ブロックチェーンに記録を残すことで、本人であることや、データの作成者・作成日時を証明しようとする取り組みがあります。
個人を証明する仕組みには、生体情報の扱いなど、プライバシーの面での議論もあります。
テーマ投資の注意点
「AI」のような大きなテーマで暗号資産を選ぶときは、次の点に注意します。
- 名前と中身は別:AIを名前に入れているだけで、AIを使っていない、またはAIがなくても成り立つ仕組みもある
- テーマは先に値上がりしやすい:話題になった時点で、期待がすでに価格に織り込まれていることがある
- 値動きはまとめて起きやすい:同じテーマの銘柄は、上がるときも下がるときも一緒に動きやすい
- 流動性が低い銘柄が多い:新しい分野ほど、売りたいときに売れないリスクがある
銘柄ごとに確かめる項目は、銘柄の中身を調べる5つの視点にまとめています。
「AIが運用するから必ずもうかる」は詐欺の典型

AIの話題に乗じた投資詐欺にも注意が必要です。米国の商品先物取引委員会(CFTC)は2024年1月、「AIの自動売買ボットで大きな利益が出る」とうたう勧誘への注意を呼びかけました。その中では、自動売買をうたい、17億ドルを超えるビットコインを集めた事例が紹介されています。
国内でも、国民生活センターが、暗号資産の「自動売買ソフト」やSNSをきっかけとした投資トラブルへの注意を呼びかけています。暗号資産に関する相談は、2025年度に8,132件寄せられました。
「AIが自動で運用する」「月利◯%」「元本保証」といった勧誘は、詐欺を疑ってください。業者に資金を預けて運用を任せる仕組みは、法律上の登録が必要です。登録の有無は金融庁のウェブサイトで確かめられます。
よくある質問
AI関連の暗号資産は国内の取引所で買えますか
国内の登録業者で扱われている銘柄は限られています。扱われているかどうかは、各社の取扱銘柄の一覧で確かめてください。扱っていない銘柄を海外の業者で買うことは、当サイトではすすめていません。
AIの株と、AI関連の暗号資産は何が違いますか
株は会社の持ち分で、利益や資産の裏付けがあります。暗号資産のトークンは、多くの場合、会社の利益を受け取る権利はなく、仕組みの中での使い道や需要が価値の源になります。値動きの大きさも一般に暗号資産のほうが大きくなります。
テーマで選ぶなら、どのくらいの金額にすべきですか
テーマで選んだ銘柄は、値動きがとくに大きくなりがちです。資産全体の中での割合の考え方は暗号資産は資産の何%まで?で説明しています。
まとめ
- AIと暗号資産の組み合わせは、計算資源の共有、DePIN、AIエージェントの支払い、証明の4つの型に分けて考えると整理しやすい
- 将来の市場規模の予測と、現在の規模は分けて読む。AIエージェントの支払いは暗号資産以外の方法もある
- 「AIが自動で運用して必ずもうかる」は詐欺の典型。名前ではなく中身で判断する
出典
- Coinbase「Introducing x402」(2025年5月)
- The Defiant「Coinbase’s x402 Payment Protocol Moves to Linux Foundation」(2026年4月)
- Visa「Visa Intelligent Commerce」発表(2025年4月30日)
- Cointelegraph「WEF: DePIN market could hit $3.5 trillion by 2028」
- 米商品先物取引委員会(CFTC)「AI Won’t Turn Trading Bots into Money Machines」(2024年1月25日)
- 国民生活センター「暗号資産(仮想通貨)に関する相談」
- 金融庁「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」
暗号資産は法定通貨ではなく、価格の変動により損失が生じることがあります。本記事は情報の提供を目的としており、特定の暗号資産の購入や取引の勧誘を目的とするものではありません。取引の判断は、ご自身の責任で行ってください。
