レベル:中級|記載の情報は2026年10月18日時点のものです。
DeFi(ディーファイ、分散型金融)は、銀行や証券会社のような仲介者を置かずに、ブロックチェーン上のプログラム(スマートコントラクト)で貸し借りや交換を行う仕組みです。暗号資産を「持つ」だけでなく「預けて使う」世界の入り口ですが、仕組みを知らずに使うと、思わぬ形で資産を失うことがあります。
この記事では、次の4点を整理します。
- DeFiの規模を示す「TVL」の見方
- 代表的な2つの仕組み:レンディングと分散型取引所
- DeFi特有のリスク
- 日本での位置づけ
TVL:DeFiの規模を示す数字
DeFiの規模は、TVL(Total Value Locked、預け入れられている資産の総額)という数字で見るのが一般的です。データサイトのDefiLlamaによると、DeFi全体のTVLは約895億ドルです(2026年10月18日時点)。チェーン別では、イーサリアムが約497億ドルで全体の半分以上を占めています。
| 時期 | DeFi全体のTVL(DefiLlama) |
|---|---|
| 2021年11月ごろ(ピーク) | 約1,780億ドル |
| 2023年8月 | 380億ドル未満 |
| 2026年10月18日 | 約895億ドル |
TVLを見るときは、次の2点に注意します。
- 価格に左右される:預けられている暗号資産の値段が下がれば、資金が流出していなくてもTVLは減る
- 数え方で数字が変わる:同じ資産を別の仕組みに預け直したものを二重に数えるかどうかなどで、集計値が変わる
仕組み1:レンディング(貸し借り)

DeFiのレンディングでは、暗号資産を預けた人が利息を受け取り、借りたい人は担保を差し入れて借ります。借りる側は、借りる額より多い担保を入れる「過剰担保」が基本です。
注意したいのが清算です。担保にした暗号資産の値段が下がり、担保の価値が一定の水準を下回ると、担保が自動的に売られて借入れが返済されます。代表的なサービスのAaveでは、「ヘルスファクター」という指標が1を下回ると清算の対象になると説明しています。相場が急落すると清算が連鎖し、値下がりがさらに加速することがあります。
国内の業者の貸暗号資産とは仕組みが違います。業者への貸出しについては貸暗号資産とはで説明しています。
仕組み2:分散型取引所(DEX)
分散型取引所では、板ではなく、利用者が預けた2種類の暗号資産の「プール」を相手に交換します。プールに資産を預けた人(流動性の提供者)は、交換のたびに発生する手数料の一部を受け取ります。
ここで知っておきたいのがインパーマネントロスです。プールに預けた2つの資産の値段の比率が変わると、預けずに持っていた場合より資産が少なくなることがあります。Chainlinkの解説では、一方の値段が2倍になると約5.7%、5倍になると約25.5%、持っていた場合より減るとしています。受け取る手数料がこれを上回らなければ、預けた意味がなくなります。
DeFi特有のリスク

| リスク | 内容 |
|---|---|
| プログラムの欠陥・ハッキング | スマートコントラクトの不具合を突かれ、資産が抜き取られる |
| 清算 | 担保の値下がりで、担保が強制的に売られる |
| ステーブルコインのデペッグ | 1ドルなどの価値が保てなくなる |
| 自己管理のミス | 秘密鍵の紛失、偽サイトへの接続、送金ミスは取り戻せない |
| 仲介者がいない | トラブルの相談先や補償の仕組みがない |
ブロックチェーン分析会社のChainalysisによると、ハッキングなどで盗まれた暗号資産は、2024年に約22億ドル、2025年には34億ドルを超えました(2025年は1月〜12月初旬)。2025年2月には、海外の取引所Bybitから約15億ドル相当が盗まれ、米国FBIは北朝鮮によるものと発表しています。
ステーブルコインのデペッグ(価値が1ドルからずれること)も、実際に起きています。2022年5月には、仕組みで価値を保とうとしたTerraUSD(UST)が0.79ドル台まで下がり、その後崩壊しました。2023年3月には、準備金の一部を破綻したシリコンバレー銀行に預けていたUSDCが、一時0.86ドルまで下がりました。ステーブルコインの種類と日本のルールはステーブルコインとはで説明しています。
DeFiのサービスは、金融庁に登録された暗号資産交換業者ではありません。分別管理などの日本の利用者保護の仕組みは適用されず、トラブルが起きても補償を受けられないのが普通です。当サイトは、DeFiの利用をすすめるものではありません。
日本での位置づけ
2026年10月時点で、日本にはDeFiだけを対象にした法律のルールはありません。金融庁の委託調査(2022年)では、DeFiは規制の対象となる主体を特定しにくく、ルールを守らせることが難しいという課題が指摘されています。
DeFiを使うには、国内の業者から自分のウォレットに暗号資産を送り、そのウォレットをサービスにつなぐ必要があります。送金のしかたは暗号資産の送金・出金のやり方、ウォレットの管理はウォレットとはで説明しています。
よくある質問
DeFiの利回りが高いのはなぜですか
利回りの源泉は、借り手が払う利息、交換の手数料、サービスが配るガバナンストークン(運営の投票に使うトークン)などです。高い利回りは、高いリスクの裏返しであることが多く、配られるトークンの値下がりで実質の利回りが大きく下がることもあります。
DeFiで得た利益に税金はかかりますか
日本では、DeFiで得た報酬やトークンも、原則として所得の対象になると考えられます。取引の記録を残しておくことが大切です。くわしくは暗号資産の確定申告のやり方をご覧ください。
TVLが増えているチェーンの暗号資産は値上がりしますか
TVLは利用の広がりを示す目安のひとつですが、価格との関係は一定ではありません。TVLの増加が価格の上昇によるものか、資金の流入によるものかも分けて考える必要があります。
まとめ
- DeFiは、仲介者なしにプログラムで貸し借りや交換をする仕組み。規模はTVLで見るが、価格と数え方に左右される
- レンディングには清算、分散型取引所にはインパーマネントロスというリスクがある
- ハッキングやデペッグは実際に起きている。日本の利用者保護の仕組みの外にあることを理解しておく
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出典
- DefiLlama(DeFi全体・チェーン別のTVL)
- Decrypt「Ethereum Staking Is Booming, But Value of DeFi Assets Keeps Falling」(DefiLlamaのデータを引用)
- ethereum.org「DeFiとは」
- Aave Help Center「Liquidations」
- Chainlink「What Is Impermanent Loss?」
- Chainalysis「Crypto Hacking & Stolen Funds」(2025年版・2026年版)
- FBI IC3「North Korea Responsible for $1.5 Billion Bybit Hack」(2025年2月26日)
- ニューヨーク連銀「Runs on Stablecoins」(2023年7月)
- 米連邦準備制度理事会「FEDS Notes:SVB破綻とステーブルコインへの影響」
- 金融庁「分散型金融システムのトラストチェーンにおける技術リスクに関する研究」(委託調査、2022年)
暗号資産は法定通貨ではなく、価格の変動により損失が生じることがあります。本記事は情報の提供を目的としており、特定の暗号資産の購入や取引の勧誘を目的とするものではありません。取引の判断は、ご自身の責任で行ってください。
