レベル:中級|記載の情報は2026年10月18日時点のものです。
暗号資産で大きな損失を出す人の多くは、銘柄選びよりも前に「金額」でつまずいています。値動きの大きい資産に、資産の大部分を入れてしまうと、下落に耐えられずに安値で売ることになりがちです。
この記事では、暗号資産に入れる金額の上限を、自分で計算する方法を説明します。「何%にしなさい」という正解はありません。人によって資産も収入も、損失に耐えられる度合いも違うからです。
- 前提:入れてよいのは「当面使う予定のないお金」
- 上限の計算式:許容できる損失÷想定する下落率
- 銘柄ごとの上限も決める
- 配分が膨らんだときの考え方
前提:入れてよいのは「当面使う予定のないお金」

金融庁は、投資に回すお金について「当面使う予定のないお金」で行うよう説明しています。暗号資産は、株式や投資信託よりも値動きがはるかに大きい資産です。その前に、次の2つを分けておきます。
- 生活防衛資金:病気や失業などに備える現金。生活費の数か月〜1年分を目安にする人が多い
- 使う時期が決まっているお金:数年以内の住宅購入、教育費、車の買い替えなど
この2つを除いた残りが、投資に回せるお金です。暗号資産の金額は、その中で考えます。
上限の計算式:許容できる損失÷想定する下落率

上限を決めるときは、「いくら増えてほしいか」ではなく、「いくらまでなら減っても生活や気持ちが崩れないか」から逆算します。
暗号資産の上限=許容できる損失額÷想定する下落率
想定する下落率には、過去の実績を使います。ビットコインは、高値から安値まで約78〜93%下落した局面が過去に4回ありました。イーサリアムは2018年に約94%下落しています。くわしくは過去の暴落はどれくらい深かったかで説明しています。
計算例
投資に回せる資産が1,000万円の人が、「資産全体の5%(50万円)までの損失なら耐えられる」と考えた場合です。
| 想定する下落率 | 計算 | 暗号資産の上限 | 資産全体に占める割合 |
|---|---|---|---|
| 50% | 50万円÷0.5 | 100万円 | 10% |
| 80% | 50万円÷0.8 | 62.5万円 | 約6% |
| 90% | 50万円÷0.9 | 約55万円 | 約5.5% |
※説明のための計算例です。特定の割合をすすめるものではありません。
想定する下落率を小さく見積もるほど、上限は大きくなります。過去に何度も80%を超える下落があったことを考えると、楽観的な前提で計算しないことが大切です。
「耐えられる損失」の決め方
許容できる損失は、金額と気持ちの両面で考えます。
- 金額の面:その金額を失っても、生活や将来の計画が変わらないか
- 気持ちの面:その金額が減っている間も、仕事や睡眠に影響が出ないか
たとえば「毎月の手取りの1か月分」「年間のボーナスの半分」のように、自分の生活に置き換えると実感しやすくなります。
銘柄ごとの上限も決める
暗号資産の中でも、銘柄によって値動きの大きさは違います。時価総額が小さい銘柄や、新しい銘柄ほど、90%を超える下落や、取扱いの終了で売れなくなるリスクが高くなります。
| 区分の例 | 想定する下落率の目安 | 考え方 |
|---|---|---|
| 時価総額が大きく、多くの業者が扱う銘柄 | 80% | 過去の大きな下落局面をもとに見積もる |
| 時価総額が小さい銘柄、テーマで選んだ銘柄 | 90〜100% | ほぼゼロになる可能性も含めて見積もる |
※区分と下落率は、計算の考え方を示す例です。
1つの銘柄に入れる金額にも上限を設けておくと、想定外の出来事が起きても、損失を一定の範囲に抑えられます。銘柄の調べ方は銘柄の中身を調べる5つの視点で説明しています。
配分が膨らんだときの考え方
暗号資産の値段が上がると、資産全体に占める割合も大きくなります。上限を超えたまま放置すると、次の下落で、最初に決めた許容額を超える損失が出るおそれがあります。
対応には、次のような方法があります。
- 一部を売って、上限の範囲に戻す
- 新しく買う金額を止める、または減らす
- 上限そのものを見直す(収入や資産が増えた場合など)
売るときは、その時点で利益に税金がかかる点に注意が必要です。配分の整え方はコア・サテライトで考えるポートフォリオとリバランス、売り方の考え方は利益確定と出口のルールで説明しています。
「借りたお金で買う」「レバレッジをかける」場合は、この計算は成り立ちません。証拠金を上回る損失が出ることがあり、損失が許容額を大きく超えるおそれがあります。
よくある質問
若い人ほど多めに入れてもいいのですか
一般に、収入を得られる期間が長い人ほど、損失から立て直す時間がある、と考えられています。ただし、収入や貯蓄の状況、気持ちの面の耐性は人によって違います。年齢だけで決めず、上の計算式で確かめてください。
毎月つみたてる場合はどう考えますか
「1年後の積立額の合計」と「すでに持っている分」を足した金額で、上限を超えないかを確かめます。つみたての基本は暗号資産のつみたてとはで説明しています。
少額から始めたい場合も計算が必要ですか
数千円〜数万円で仕組みを試す段階なら、厳密な計算は必要ありません。金額を増やすときに、この考え方で上限を決めてください。少額での始め方は暗号資産はいくらから始められる?で説明しています。
まとめ
- 暗号資産に入れるのは、生活防衛資金と使う時期が決まったお金を除いた「当面使う予定のないお金」の一部
- 上限は「許容できる損失÷想定する下落率」で逆算する。下落率は過去の実績から楽観せずに見積もる
- 銘柄ごとにも上限を決め、値上がりで配分が膨らんだら見直す
出典
- 金融庁「NISA特設ウェブサイト:資産形成の基本」
- 金融庁「つみたてNISA・NISA動画講座 資料」
- 金融経済教育推進機構(J-FLEC)「大学生向け講座 教材」
- Nasdaq「Bitcoin Bear Markets: What, Why, When」
- CoinDesk「Ether Price Now Down 94% From January’s Record High」(2018年12月)
暗号資産は法定通貨ではなく、価格の変動により損失が生じることがあります。本記事は情報の提供を目的としており、特定の暗号資産の購入や取引の勧誘を目的とするものではありません。取引の判断は、ご自身の責任で行ってください。
