レベル:入門|記載の情報は2026年10月12日時点のものです。
暗号資産のリスクは、大きく7つに分けられます。価格変動、流出、業者の破綻、詐欺、送金ミス、税金、制度変更です。どれも実際に起きたことであり、備え方がそれぞれ違います。始める前に全体を見ておくと、「知らなかった」で損をすることを減らせます。
7つのリスク早見表
| リスク | 起きること | 主な備え |
|---|---|---|
| 価格変動 | 短期間で資産が半分以下になる | 余裕資金に限る。一度に買わない |
| 流出・ハッキング | 預けた資産が盗まれる | 二段階認証。登録業者を使う |
| 業者の破綻 | 資産を引き出せなくなる | 登録業者を使う。預け先を分ける |
| 詐欺 | お金や暗号資産をだまし取られる | 登録の確認。もうけ話に乗らない |
| 送金ミス | 送った資産が戻らない | 少額で試し送金する |
| 税金 | 思わぬ額の納税が発生する | 取引の記録を残す |
| 制度変更 | ルールや取扱いが変わる | 公的な情報を定期的に確かめる |
1. 価格変動のリスク

暗号資産の値動きは、株式や為替よりも大きくなりがちです。
- ビットコインは2021年11月に約6万9,000ドルをつけたあと、1年後の2022年11月には約1万6,000ドルまで下がりました。下落率はおよそ77%です
- 2025年10月には約12万6,000ドルの最高値をつけましたが、2026年10月上旬は約8万3,000ドルで、最高値からおよそ34%低い水準です
ビットコイン以外の銘柄は、さらに大きく動くことがあります。取引量の少ない銘柄では、売りたいときに買い手がつかず、思った値段で売れないこともあります。
備え方:生活費や、近いうちに使う予定のお金は入れません。「半分になっても暮らしが変わらない額」を上限にします。一度にまとめて買わず、時期を分けるのも方法のひとつです。
2. 流出・ハッキングのリスク

業者が管理する暗号資産が、不正アクセスで盗まれた事件があります。
- 2018年1月、コインチェックから約580億円相当の暗号資産NEMが流出しました
- 2024年5月、DMM Bitcoinから約482億円相当のビットコインが流出しました
どちらの事件でも、最終的に利用者への補償は行われました。ただし、それは会社やグループの資金で対応した結果であり、補償が制度として約束されているわけではありません。こうした事件を受けて、業者に求められる管理の基準は段階的に引き上げられてきました。
備え方:二段階認証を設定します。金融庁の登録業者を使い、まとまった額を預けるときは複数の業者に分ける方法もあります。
3. 業者が破綻するリスク
2022年11月、世界有数の規模だった海外の取引所FTXが破綻しました。世界中の利用者が、預けた資産を引き出せなくなりました。
日本の登録業者には、自社の資産と利用者の資産を分けて管理する義務があります。FTXの日本法人では、このルールのもとで利用者の資産が分けて管理されており、2023年2月に出金が再開されました。
備え方:金融庁の登録業者を使うことが、最も基本的な備えです。登録のない海外の業者に預けた資産は、日本の利用者保護のしくみでは守られません。
4. 詐欺のリスク
暗号資産そのものより、暗号資産を口実にした詐欺のほうが、被害は身近です。警察庁によると、2025年のSNS型投資詐欺とロマンス詐欺の被害額は、合わせて約1,834億円でした。
典型的な流れは、SNSで知り合った相手や、著名人をかたる広告から投資話を持ちかけられ、指定されたアプリや口座へ送金させられるものです。
備え方:業者の名前と登録番号を、金融庁の一覧で確かめます。利益や元本を保証する言葉が出た時点で、詐欺を疑ってください。くわしくはSNS型投資詐欺の手口と相談先にまとめました。
5. 送金ミスのリスク
暗号資産の送金は、取り消しができません。次のような間違いで、資産を失うことがあります。
- 送り先のアドレスを間違える
- 送り先が対応していないネットワークを選んで送る
- 送り先で必要なタグやメモを付け忘れる
銀行振込のような「組戻し」の手続きはありません。
備え方:初めての送り先には、まず少額を送って届くことを確かめます。アドレスは手で打たず、コピーと貼り付けを使い、最初と最後の数文字を目で確かめます。
6. 税金のリスク
暗号資産の利益には税金がかかります。2026年分は、給与などと合算する総合課税で、税率は所得に応じて最大約55%(所得税と住民税の合計)です。
見落としやすいのは次の3点です。
- 暗号資産を別の暗号資産に交換しただけでも、利益が出ていれば課税される
- 損失を翌年以降に繰り越せない
- 利益が出た年の税金は、翌年に価格が下がっても減らない
年内に利益を確定したあと、翌年に価格が大きく下がり、納税のお金が足りなくなる。これは暗号資産で実際に起きてきた失敗の型です。
備え方:取引の記録を残し、業者が発行する年間取引報告書を毎年保存します。利益が出た年は、納税に必要な額を円で取り分けておきます。基本は暗号資産の税金の基本(2026年分)で説明しています。
7. 制度変更のリスク
暗号資産のルールは、今も変わり続けています。2026年7月には、暗号資産を金融商品取引法の枠組みに移す改正法が成立しました。施行は2027年7月までの予定で、税金のしくみも変わる見込みです。
また、業者が特定の銘柄の取扱いをやめることがあります。取扱いが終わると、その業者では売買できなくなり、期限までに売るか、別の場所へ移す必要が出てきます。
備え方:金融庁や国税庁、利用している業者からのお知らせを、ときどき確かめます。制度の現状は暗号資産の申告分離課税はいつからにまとめています。
リスクを知ったうえで、始めないという選択
ここまで読んで「自分には合わない」と感じたなら、始めないのも正しい判断です。暗号資産を持たないことで困る場面は、今の日本ではほとんどありません。
始める場合も、最初から大きな金額を入れる必要はありません。少額で始めて、値動きや操作に慣れてから考えても遅くはありません。
よくある質問
登録業者に預けていれば、資産は保証されますか
保証されません。登録業者には分別管理などの義務がありますが、銀行預金のような預金保険はありません。価格の下落による損失も補償されません。
いちばん気をつけるべきリスクはどれですか
人によります。少額で始める人にとっては、詐欺と送金ミスが最も現実的です。金額が大きくなるほど、価格変動と税金の影響が大きくなります。
まとめ
- リスクは7つあり、それぞれ備え方が違う
- 登録業者の利用、二段階認証、記録の保存は、だれにでも共通する基本
- 値下がりの損はだれも補償しない。余裕資金の範囲で考える
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出典
暗号資産は法定通貨ではなく、価格の変動により損失が生じることがあります。本記事は情報の提供を目的としており、特定の暗号資産の購入や取引の勧誘を目的とするものではありません。取引の判断は、ご自身の責任で行ってください。
